有機栽培だから、堆肥を投入していれば良い、虫がつくのは仕方ない、収量は低くても仕方ない、という時代は過ぎました。
ただ闇雲に有機栽培を行っても、安全で美味しい作物を安定的に生産することは出来ません。
本当に大切なことは、生産者自身が植物の成長過程を理解し、植物の栄養状態や圃場(ほじょう)の状態を知ることです。
そして、土壌分析・施肥設計を行うことにより、科学的データを蓄積させ、微調整を繰り返しながら、自らの施肥体系を確立することだと考えます。
その助けとなるのが、BLOF(ブロフ)理論です。
この理論に基づいて栽培を行うことにより、「高品質」・「高収量」・「高栄養」が実現できる時代に入っています。
BLOF理論とは、自然界の法則に従った作物整理の科学的理解と、土壌分析・施肥設計に基づいた科学的根拠を合わせた弊社独自の有機栽培技術です。
この栽培技術は、作物本来の力を取り戻すことができます。
作物の繊維づくりや細胞づくりが正常に行われ、耐病害虫に優れた高品質の作物や大きさが揃った高収量の作物を栽培することができます。
さらに、高栄養価の機能性作物を栽培することができます。
機能性作物とは、「抗酸化力」・「ビタミンC」・「糖度」・「硝酸態窒素」などの科学的データに基づいて作物の栄養価を評価するものです。
BLOF理論に基づいて栽培された作物は、従来の作物よりも栄養価が高く、作物本来の旨味を感じることができます。
また、えぐみのもととなる硝酸態窒素は低くなることが証明されています。
BLOF理論とは、3つの分野に分けて考察し、科学的・論理的に営農していく栽培技術です。
いかに光合成でつくった炭水化物を余らせるか
慣行栽培では、作物が吸収した無機態チッソと光合成でつくった炭水化物を利用してアミノ酸合成、そして細胞であるタンパク質の合成(以下、タンパク質合成)をおこないます。
一方、BLOF理論では、炭水化物付きチッソであるアミノ酸を活用するため、タンパク質合成に光合成で作った炭水化物をあまり必要としません。したがって、使われなかった炭水化物は、
に利用できるため、病害虫に抵抗できるカラダをもちながら、高品質・高収量になります。
2つ目のキーワードは、「ミネラルの供給」です。
作物栽培において、NPKおよび堆肥だけを施しておけば良いということは決してありません。
光合成に必要な元素は窒素だけではありません。
作物は成長するために必要な元素(ミネラル)があり、それぞれの植物に対しての働きがあります。
これらのミネラルを絶えず供給するためには、土壌分析を行い、ほ場の養分過不足を調べ、土壌分析結果に基づいた施肥設計が重要となります。
ミネラルは、光合成をはじめとする生化学的な反応を制御しているため、ミネラルが不足した状態で窒素を施すと軟弱な成長となり、病気を引き起こしやすくなります。そのため、必ずミネラル先行・窒素後追いとなるように施肥管理を行うことが重要となります。
土壌病害菌抑制、水溶性炭化物の供給
3つ目のキーワードは、「太陽熱養生処理」です。
C/N比を調整した原料をある環境下で発酵させると、中熟堆肥が完成します。
炭素(C)含有率(%)と窒素(N)含有率(%)の比率のことです。
この中熟堆肥を土壌に施すと、短時間で土壌団粒が形成されます。
また、中熟堆肥が土壌中で分解する過程において、植物に利用しやすい水溶性炭水化物が生成されます。
この水溶性炭水化物は、土壌中のミネラルを根酸に変わって溶かし、吸収しやすい水溶性ミネラルに変換します。
好天の場合は、アミノ酸吸収によって生じた余剰炭水化物と、根から吸収された水溶性炭水化物により、さらに高品質、高収量、無農薬が達成しやすくなります。
また悪天候の場合でも、余剰炭水化物や水溶性炭水化物が多いため、光合成や生命活動に必要な必須ミネラルをこの中熟堆肥を利用して、太陽熱養生処理を行うことが重要となります。
太陽熱養生処理を行うことにより、土壌団粒の形成が促進され、土壌中の根張りが向上します。
光合成が盛んに行われることにより、作物の繊維が強化され、病害虫抵抗性が向上します。
また、前作で生き残った病害虫や、これから発生する可能性がある病害虫のもとを断つことができます。
これらの効果により、病気が発生しにくい高品質・高収量の作物を栽培することが実現できます。
さらに、雑草の種子を死滅させることもできるので、作業効率も上がります。
BLOF理論は、3つの分野に分けて科学的かつ論理的に営農していく栽培技術です。
太陽熱養生処理を大きな土台として、ミネラルの補給、炭水化物付き窒素の供給が重要となります。
全てが相互的に繋がり、それぞれを深く理解し、実践することにより、「高品質」・「高収量」・「高栄養」の作物を栽培することが可能となります。
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